第二部−2− 地球の科学

第8章 鉱物(5)

目次
4. 主要鉱物各論(4)
f.かんらん石
用語と補足説明
この章の参考になるサイト

4.主要鉱物各論(4)

f.かんらん石

 かんらん石は、苦土かんらん石(Mg2SiO4)と鉄かんらん石(Fe2SiO4)の固溶体である。だから、かんらん石の化学組成は(Mg、Fe)2SiO4と書ける。つまりSiO4四面体の間を、マグネシウムと鉄の合計が2になるような適当な割合で、いろいろな組成のものが存在する。詳しくは下を参照

 ここで苦土はマグネシウムのことである。また、かんらん石(橄欖石)の“橄欖”はオリーブのことで(英語ではOlivine)、オリーブ色をしている。きれいなものはペリドットという宝石になる。


かんらん石:北海道大学新井田清信氏・箕浦名知男氏
http://www.museum.hokudai.ac.jp/newsletter/05/news05-08.html

 かんらん石に高い圧力を加えると、結晶の形がオリビン型構造からスピネル型構造という別の形に変わる。つまり、多形が存在する。マントルの岩石はかんらん岩(かんらん石70%、輝石30%くらいいからなる岩石)と考えられている。そしてマントル上部で急に密度が高くなる(地震波速度が速くなる)のは、かんらん岩中のかんらん石がそのあたりの深さで、スピネル型に形を変えている(相変化している)ためだと思われている。地球の構造−2−も参照。

 戻る  このページのトップへ  目次へ  home


用語と補足説明

固溶体としてのかんらん石2価のマグネシウムイオンと鉄イオンはその大きさ(イオン半径)も同じような大きさである。だから、かんらん石の骨格であるSiO4四面体の間には、マグネシウムイオンが入っても、鉄イオンのどちらが入ってもよい。そこで下図のように、苦土かんらん石(Mg2SiO4)と鉄かんらん石(Fe2SiO4)のマグネシウムイオンと鉄イオンがいろいろな割合で入れ替わったかんらん石が存在することになる。マントルを構成しているかんらん岩中のかんらん石は(Mg1.8Fe0.2)SiO4程度(つまりマグネシウムが90%、鉄10程度)らしい。

戻る  このページのトップへ  目次へ  home

かんらん岩とかんらん石マントルを構成している岩石がかんらん岩で、そのかんらん岩の主要構成鉱物がかんらん石(かんらん岩はほかに輝石なども含む)である。一般に……岩といえば岩石名、……石といえば鉱物名となる。

オリビン型とスピネル型上部マントルのかんらん岩中のかんらん石は、Mg:Fe=0.89:0.11程度といわれている。このようなかんらん石(α相(アルファ相))は、約12GPa(ギガパスカル、12万気圧)から13GPaの圧力でスピネル型(β相(ベータ相))に変わる。さらに16GPaあkら17GPaの圧力でおなじスピネル型でもγ相(ガンマ相)に変わり、さらに24GPaから25GPaの圧力になるとペロプスカイトとマグネシオウスタイトに分解する。このかんらん石(α相)からスピネル型(β相)に変わる圧力は深さにして約400km、ベータ相からペロプスカイトとマグネシオウスタイトに分解する圧力は深さにして約670kmである。そして、この深さで地震波速度が急増している。これについてはこちらを参照。β相とγ相はお互いに大変似ている構造のため、とくに顕著な密度急増(地震波速度急増)とは結びついていない。

戻る  このページのトップへ  目次へ  home


この章の参考となるサイト

戻る  このページのトップへ 目次へ  home