第一部−2− 宇宙の科学

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第3章 太陽(5)
7.太陽の組成と構造
a.太陽の組成
b.太陽の構造
用語と補足説明
参考になるサイト

第3章 太陽

7.太陽の組成と構造

a.太陽の組成

 太陽の組成は、太陽光スペクトルからわかる。スペクトルについては宇宙の科学の第5章恒星の<4.恒星のスペクトル>の章を参照。下は太陽のスペクトルである。中の暗線(フラウンホーファー線)の位置から、元素の種類とその状態(どの程度電離しているか)がわかる。


太陽のスペクトル:国立天文台岡山天体物理観測所
http://www.oao.nao.ac.jp/stockroom/extra_content/sun/sun.htm

 こうして調べられた太陽の組成はほとんどが水素(数比で95.1%)で、残りの大部分がヘリウム(数比で4.8%)である。この二つの元素で99.9%、残りはわずか0.1%でしかない。しかし、この0.1%の中にはさまざまな元素が含まれていることがわかっている。

 さらに、皆既日食の際に観測される太陽コロナのスペクトルをとると、多くの電子をはぎ取られた鉄(F+13)などが存在いしていることもわかる。コロナが数百万Kの高温になっているということは、このようにしてわかった。

b.太陽の構造

 太陽の中心では水素の原子核がヘリウムの原子核になる、核融合反応が行われている。そのエネルギーはまず光(電磁波(γ線や紫外線))で外側に運ばれていく。これが放射層である。その外側ではエネルギーはプラズマ(原子核と電子がバラバラになった状態)の対流で運ばれる。これが対流層である。この対流を上から見たのが粒状斑で、ちょうとお椀の中のみそ汁の対流を見ているようなものである。

 太陽の中心でつくられたエネルギーは、γ線が途中の原子で散乱されるために、表面に出てくるのには100万年以上かかる。しかし、核反応で発生するニュートリノは他の物質とほとんど反応しないので、ほぼ光の速さで太陽を通り抜け、その一部は地球をも貫いている。だから、このニュートリノを観測できれば、太陽の現在(厳密には光の速さでも8分20秒くらいかかるが)の状態を調べることができるかもしれない。スーパーカミオカンデはこうしたことに挑戦している。

 いまのところ、観測されるニュートリノの数が、予想より大幅に少ないという問題がある。これは核融合反応の理論上の問題、観測技術上の問題、あるいはほんとうに太陽の核融合反応が衰えているという可能性などが考えられるが、現在これこそがニュートリノに質量がある一つの証拠という考え方も出てきている。スーパーカミオカンデこのページを参照。

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