雲取山

2003年8月29日(金)〜30日(土)、東京都の最高峰、雲取山(2017.1m)に行ってきました。
別の雲取山(2007年5月7日(月)〜8日(火))はこちら

 前日、人間ドック入りをしていてちょっと体が重かったのですが、この日を逃すともう晴れの日はしばらくありそうにありません。そこで、東京都の最高峰、雲取山を目指すことにしました。雲取山は過去に2回行っています。1回目は25年くらい前でしょうか、三峰側から入り、旧雲取山荘に泊って、次の日、石尾根を経由して奥多摩駅に直接出ました(若かった)。2回目は1985年(それでももう18年前!)、後山林道から入り(長い)、三条の湯に泊って、翌日山頂から鴨沢に降りるコースです。このときは11月3日4日の連休に行ったので、とても込んでいました。既に北斜面はバリバリに凍っていました。あと、帰りの青梅街道が動かなくなって大変でした。

(1) 1日目    (2) 2日目

(1) 1日目

 埼玉側の三峰からは、三峰ロープウェイが利用できます。ネットで調べると始発が9時15分、それに間に合うようにとさらに調べると、6時50分池袋発の西武池袋線のレッドアロー号があります。運賃の他に特急料金が620円かかりますが、ちょっとリッチな気分になるし、ロマンスシートなので電車の中で朝食を食べても恥ずかしくありません。実際はがらがらでした。もちろん、すれ違う上りのレッドアロー号は通勤客で満席状態でした。毎日だと特急料金の負担は大変ですが、でも、たまにはこういう電車で通勤したくなるんだと思いました。

 西武秩父から秩父鉄道のお花畑駅に行って、そこから三峰口まで、三峰口からはバスに乗って大輪までと、電車・バスの乗り継ぎはうまく合わせてあります。バスの中には私を含めて、4人の登山者がいました。バスの大輪から徒歩10分程度で三峰ロープウェイの乗り場へ。ここはちょっと長い。若い方はロープウェイを使わずそのまま歩いて登ったみたい。後で伺ったら、途中に立派な滝があるので、それを見るためだったそうです。

 ロープウェイはかなり使い込まれた年代物です。「きりも」「くもとり」の二つのゴンドラを、つるべ式に互い違いに上下させるタイプです。ロープウェイの山頂駅は標高1,100mくらいあります。登ると2時間かかる、標高差680mを一気に持ち上げてくれます。ちょっとズルした気分です。多摩の鴨沢側は標高600mもないですから。こちらの方がうんとラクチンかと。でも、これは間違いだと後でわかりました。

 身支度をして9時半ころから歩き出し、だらだらとした舗装道をとぼとぼ歩いて行くと、道が鳥居のある舗装路と、その左の砂利二つに分かれますが、結局は同じです。左の方が三峰神社への近道です。私は左の道を取って立派な三峰神社(ただし本社は改装中)を見てから、もとの道に戻りました。正規の表参道は神社を通り越した側にあって、おみやげ屋さんなどが並んでいます。中にはクマの剥製にホッかぶり鉢巻きをさせているお店もあります。あとで、何回も「クマ出没注意」の看板が出てきますが、あんなクマが出たら確かに怖いと思いました。

 それらを過ぎると、いよいよ登山道に入ります。とはいってもしばらくは同じようにだらだらした道です。もちろん所々ちょっと急なところもあります。途中で、同じロープウェイを使った中高年男性2人組のパーティを追い抜きました。三峰神社の奥宮(妙法山)への分岐を何回か通り過ぎます。このあたりは気持ちのいい森の中の道です。炭焼き平通過が10時40分ころ、海抜1,400m地点通過が10時50分ころでした。地蔵峠(太陽寺に降りられる)が11時5分ころ。ベンチもあってちょっと休みたくなりますが、急登を我慢してもう少し行きます。すると右側が開けて、とても懐かしい両神山や、奥秩父の山々がよく見える場所があります。ここも、我慢してもう少行くと霧藻ヶ峰(1,523m)です。この日は閉まっていましたが休憩所・売店があります。ここで、大休止。お昼ご飯を食べたり、展望を楽しんだり、記念写真を撮ったりします。追い抜いたパーティもやってきました。

 休んだ後、少し下って再び太陽寺への道を分けるお清平(お経平)が11時40分。ここから前白岩の肩までは石灰岩も露出する急登になります。前白岩の肩が12時20分。さらに急登は続き、前白岩が12時40分。このへんは展望がききます。でも疲れます。今度は下って、白岩小屋に着いたのが13時ころでした。小さな小屋です。こういうところに泊るのは粋な人なんだろうなと思いますが、こちらはさらに雲取山荘を目指します。

 またここから急登。我ながらちょっとまずい精神状態は、確かにすごく苦しいのですが、もう次はどこの山へ行こうかと考え始めていることです。ランナーズハイと同じく、クライマーズハイの状態みたいです。

 ようやく白岩山(1,921m)に着いたのは13時半ころ。シカの母子がいました。とても可愛い。ヒト慣れしているのか、一応警戒はしますが、あまり逃げようとはしません。少しシカと遊びます。でも、可愛いと思うのはこちらが登山者だからで、森林の管理者にとっては、その食害対策に頭を痛めているようです。

 ここをまた降りると長沢山、天目山への分岐があります。ここから、白岩山と双耳峰をなす芋の木ドッケ(変な名ですが、「芋の木」はウコギ科のコシアブラ、「ドッケ」は突起のことだそうです)は、登らずにその右側を巻きます。「積雪期はアイゼンをつけるように」という指示の看板が何カ所かありました。たしかに右側に転落しそうな箇所が何カ所かありました。指示がないとつけない人がいるのか、どのみち遭難者が出ればその対応は地元の方がやるので、迷惑なのでしょう。

 日原に降りられる大ダワ(この地方では山と山の鞍部をタルミとかダワといいます)は14時20分ころ。ここから今日最後の登りになります。登る道は左右二つあります。右の男坂を選びました。名前の通りきつい。こちらは営業を停止している雲取ヒュッテ(もうかなり荒れている)を脇を通過します。ヒュッテのあたりからは白岩山−芋の木ドッケがよく見えます。14時50分ころに雲取山荘に着きました。山頂はここから30分程度ですが、どうせ明日通過するからとこの日はこれで終わりにしました。約5時間半の行程でした。

 1999年に立て替えられたという雲取山荘は、ログハウスみたいな外観の、とてもきれいな山小屋になっていました。部屋も8畳程度の多くの小部屋に別れています。初代小屋番(鎌仙人−富田治三郎氏)を継いだ、新井信太郎氏の意向が強く反映されてるようです。水も豊富です。トイレも水洗と近代的、とても快適です(ただし、山荘とは別棟)。

 この日はすいていて、夕食を頼んだのは私を含めて9人、素泊まりも同じ程度の人数です。1つの部屋を二人で使いました。あと、テントの人も何人かいたようです。相部屋になった方は、かつて北アルプスの仙人池ヒュッテで働いていたことがあるそうで、私もそこに泊ったことがあるので(27〜28年くらい前)、話が弾みました。お風呂があったこと(雨でずぶ濡れになっていたので本当に助かった、当時の雨具の性能は悪かった)、夕食(シチューと天ぷら)がすごくおいしかったなどを思い出しました。

 夕食は、写真の通りです。9時消灯ですが、8時ころには寝ました。記憶と違い、この三峰から雲取山荘の道は結構アップダウンも多く、それも急坂で、かなり疲れました。こんなはずじゃなかった。ただ、天気はまあまあでした。午前中は、雲取山頂からは富士山などもよく見えたそうです。

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地蔵峠付近から、奥秩父の山。 霧藻ヶ峰で記念撮影。後ろは両神山。 シラビソの森の中を歩く。気持ちがいい。 前白岩への急登。所々に木の梯子。でも、もろくなっていて、かえって危ない?。 白岩小屋。通が泊りそう。多分三峰神社からすぐに出会った年配の方がここの主人? 昔、登山道の手入れをしていました。「道の管理も山小屋の仕事」だそうです。
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白岩山山頂のシカの母子。 廃屋になった雲取ヒュッテ。 雲取ヒュッテから白岩山。露出した石灰岩が見える。 雲取山荘の夕食。サラダ・デザート付。 食堂と厨房。きれいで気持ちがいい。

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(2) 2日目

 5時ちょっと前に起きて外に出てみました。曇りでガスも流れています。前日夕焼けが見えたので、少しは期待したのですが、この日の天気はこれでもうだめだと思いました。天気がよければ、かつてみたいに石尾根を縦走、まあそれは無理としても鷹の巣山くらいまでは行こうかと思っていたのですが、鴨沢に降りることにしました。

 5時に朝食。身支度をして出発したのが5時40分。途中「鎌仙人」のレリーフを見ながら頂上へ。頂上は6時10分。やはり展望はまったくききません。記念写真を撮ったりしているうちに、昨日バスで一緒だった若い方も登ってきました。昨日はロープウェイを使わずに、それでも16時は山荘に着いたそうです。とても速い。だいたい、最近の山で若い人は珍しい。

 頂上の一等三角点は由緒正しい三角点らしく、隣の解説板(国土地理院、平成10年6月)によると、「この雲取山にある『原三角測點』は、現在の形の一等三角点が設置される前、明治16年(1883年)に埋設された測量標識で、測量の歴史上貴重なものです。」ということです。

 ガスが晴れるのを待っていても無駄なようなので、出発することにしました。鴨沢のバスの時間が限られているので、それに間に合うようにという気もあります。頂上から少し行くと、都立の避難小屋があります。このあたりからは石尾根の主脈縦走路がよく見えます。でも、ガスに煙りがちです。

 鎌仙人が切り開いた富田新道との分岐が6時40分。このへんの新しく植えられた木々は、シカの食害を避けるためか、筒状の塩ビ管(?)や金網で厳重に保護されています。ガスに小雨も混じり始めました。

 道はピークを丹念にたどるものと、巻道がそれぞれあります。適当に取捨して歩きます。奥多摩町町営奥多摩小屋には7時ころに着きました。なかなか風情のある小屋です。ここは素泊まり(3,500円)のみですが、寝具はあるそうです。水場も近いみたいです。いつか、泊ってもいいかもしれない。

 小屋の近くにはヘリポートもあります。でも看板は?。「遭難、救助、山林火災時に使用する云々」とありますが、どう考えても、「遭難救助、山林火災時に使用する云々」だと思います。

 というような突っ込みを入れていたら、すぐにブナ坂(ブナダワ、直接鴨沢に降りる道と、七ツ石山(から主脈)を経由して鴨沢に降りる道の分岐)です。7時半ころになっていました。地図を見ていたら、頂上で一緒になった若い方に追いつかれてしまいました。結局私は七ツ石山を経由して、若い方は直接鴨沢に降りることに。

 七ツ石への道は結構急登でした。頂上は7時45分ころ。もちろん展望はまったくありません。自己満足でしかなかった。これで、この日の登りは終わりです。ここから鴨沢を目指して降り始めます。

 七ツ石小屋の上にはおいしい水場がありました。ブナ坂からの道と合流した付近からあとは、だらだらとした下りが長く続きます。さすがに土曜日、何組・何人かの登山者とすれ違います。なかにはMTBで登ってくる人も。こちらを登った方が、三峰側よりは標高差はありますが、かなり楽そうです。水場の通過が8時50分。ここをちょっと下ると廃屋が現れます。多分そこの方の畑だったのでしょう、斜面がガレ場になっています。でも、さらに少し下ると、まだ現役の畑もあり、作業している方もいました。ここまで登ってくるだけでも大変かと思います。畑も急斜面にあるし。

 林道と合流したのが、9時35分ころ。車が数台駐車できます(2台止まっていました)。ここから鴨沢へは、林道を右に取ります。鴨沢まで20分とありました。しばらく林道を歩くと大きくヘアピンになっているところに広場(駐車スペース?)があり、そこから林道と別れて鴨沢への近道(山道)があります。最後に鴨沢の集落内の道と出会いますが、ここでも右に取るともう青梅街道、鴨沢のバス停です。ここにはトイレもあります。

 時刻は10時ころで、林道との合流からは結構長い。バスは時刻表では9時58分、でも登山者が2名待っていたので、私もここで待ちました。バスはちょっと遅れて10時過ぎに来ました。山荘を出発したときの予定では10時48分のバス、これがだめなら11時46分と思っていたので、何かとくをした気分。次のバス停からは、頂上で一緒だった方も乗ってきました。ヘアピンの駐車場で近道を通らず、そのまま林道を歩くとこのバス停に出るようです。その方は、9時ころに着いてしまったそうです。

 この日の行程は、4時間半くらいでした。

 バスは奥多摩駅に10時半ころつきました。電車は10時55分発青梅行き(私はこれに気がつかず、結局電車でも一緒だった若い人が気がついてくれた、青梅で特別快速東京行きの乗り換え)、その後立川などでの乗り継ぎもまあまあ順調で、13時前には自宅に戻りました。 

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雲取山荘の朝(5時ころ)。 山荘の朝食。 一等三角点。とても由緒正しいらしい。本文参照。 雲取山山頂の看板。 山頂の都立の避難小屋。
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ガスに煙る石尾根の縦走路。右の黄色い花はマルバタケブキ。もう枯れかけている。 避難小屋を振り返る。 風情ある奥多摩小屋。立ち上る煙がいいですね。 石尾根上の緊急用へリポート。 七ツ石山山頂。ここで、今回の登りは終わり。

2003年8月記

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