宮之浦岳(屋久島)

  2004年9月18日(土)〜19日(日)、九州の最高峰、屋久島の宮之浦岳に登ってきました。2009年7月21日の宮之浦岳はこちら

(1) 1日目    (2) 2日目

(1) 1日目

 前日に宮之浦の民宿に泊り、午前5時にタクシーと、民宿近くの早朝お弁当屋さんに朝食のおにぎりと昼食のお弁当(両方で1,050円)を頼んでおきます。

 18日午前5時、お弁当を受け取りタクシーで出発。淀川(よどごう)口を目指します。途中でだんだん雨が強くなってきて、ヤクスギランド付近を通過するときは豪雨状態。ちょっとビビるものがあります。登山道入り口の淀川口には6時過ぎに到着、タクシー代は9,000円弱でした。登山者が大勢待機しています。ここのトイレのひさしを借りて朝食。そして、雨具などを身につけます。

 出発は6時半。雨の中を登り始めます。暗い森にヤクシカがいました。ヤクシカにはこのあと何回も出会うことになります。深い森の中を歩き、7時10分ころ淀川小屋(避難小屋)を通過。このあたりから急登。だんだん雨も上がってきました。巨岩を乗せた高盤岳(豆腐岩、食パン岩)が見えてくると小花之江河(こはなのえごう)も近い。もう森林限界を超えだします。小花之江河は小さい高層湿原です。さらに少し行くと花之江河(はなのえごう)。8時45分ころになっていました。このあたりは天上の楽園です。正面には黒味岳(くろみだけ)が立派に見えます。

 黒味岳はパスして、巨岩が露出する投石平は9時半ころに到着、大休止。岩は大きな長石の結晶が見事な花こう岩です。そもそも、宮之浦岳全体が花こう岩。ここまでくるとようやく宮之浦岳がかすかに見えてきます。9時45分ころに出発。

 栗生岳(くりおだけ)のほこらを見てから、宮之浦岳への最後の急登。とてもきつい。頂上到着は11時15分ころでした。残念ながらまだ雲が多く展望はあまりききません。それでも、近くの永田岳の岩峰がガスの間にときどき姿を現します。昼食をとったり、展望を楽しんだりしてのんびりとします。出発は12時ころ。

 永田岳はパスして、焼野三叉路を右にとります。平石とか、第二展望台、第一展望台とかほんとうは展望がいいのでしょうが、この日は展望はありません。平石から第二展望台あたりまでが急降下です。この尾根は右に安房川(あんぼうがわ)源流、左に宮之浦川源流を見ることになります。

 だんだん森林の中に入り、しばらく行くと立派な新高塚小屋(避難小屋)です。14時20分ころになっていました。水も豊富なこの小屋で泊ろうかとも思いましたが、翌日とのことも考え(旧)高塚小屋まで頑張ることにしました。少し休んだあと出発。15時20分ころに高塚小屋につきました。ここで泊ることにします。定員は20名とのことですが、蚕棚の上下にそれぞれ6人くらいがゆったりできる限界かと思います。

 初めは先客が2名だけだったのでゆったりかと思いました。ただこの小屋は地図には水場マークがあるのに、近くに水場がありません。結局10分ほど下った縄文杉横の水場で水を汲むために2往復。まあ、誰もまわりにいないので、縄文杉を独り占めにできたと前向きに考えます。実際、夕日を浴びた縄文杉は立派でした。

 夕食後、2回目の水汲みに行ったときに、もう一組(母息子のペア)が登ってきました。さらに、私がほとんど寝てしまった7時過ぎにもう二組の6名がやってきたようです。

 ここまでの道は部分的には真ん中が深くえぐれているところもありますが、全体によく整備されています。とくに淀川口から宮之浦岳までと、新高塚小屋のちょっと上から先は木道や急なところは木の階段になっています。淀川口から宮之浦岳までは500mごとに道標があり、歩く目安もあります。その先も道はしっかりしているし、道標もはっきりしています。途中には、本州のシカよりかなり小振りなヤクシカが何回か登場してくれ、疲れを癒してくれました。また、所々に水場があり、水の心配はあまりありません。高塚小屋の水場がないのは困りましたが。

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淀川の登山道入り口 高盤岳の豆腐岩 小花之江河の湿原 小花之江河から高盤岳を振り返ります。 スリップしやすい露岩にはロープが垂らしてあります。
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投げ石平の露岩からようやく宮之浦岳(遠くの峰)が見えだしました。 投げ石平の露岩と、黒味岳を振り返ります。 宮之浦岳まではもう一踏ん張り。 宮之浦岳頂上の一等三角点1936.0m。 頂上で記念写真。
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ガスの間から立派な永田岳が見えます。 永田岳とその後の障子岳です。 第一展望台付近。 こちらを向いているヤクシカ(顔が葉の陰)とお尻を向けているヤクシカ。 立派なテラスを持っている新高塚小屋。

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(2) 2日目

 朝5時過ぎから起き出します。だいたいまわりもそう。ここで朝食をとるより、縄文杉近くの四阿の方がいいと思い、荷物を簡単にまとめて、6時ころにそこまで下ります。驚いたことにもうそこには一人いました。昨日の夜登ってきたのだが、途中でランプが急に切れて、あとは携帯電話の明かりでようやくここまで来て寝たということでした。ここでサル(母子ザル)も登場しましたが、カメラの準備をするまでもなく去っていってしまいました。

 朝食のあとパッキングをし直して、6時半ころ下り始めます。すぐに縄文杉。今度は朝日を浴びた縄文杉を独り占め。現在は縄文杉保護のための展望テラスができています。混んでいるときは一方通行になってしまうようです。記念写真を撮ったりします。単独で見るととてもスギとは思えません。

 7時ころ出発。このあたりから先の道はほんとうによく整備されています。もちろん部分的にはぬかるんでいるところや侵食されているところ、木の根が露出しているところを通過しなくてはなりません。でも、急な坂のほとんどは木の階段になっているといってもいいでしょう。これがほんとうにいいことなのかどうかは悩ましいところですが、大勢の縄文杉見学客がやってくるという現実を考えるとやむを得ないかもしれません。

 夫婦杉や大王杉を見ながら、ウィルソン株には8時ころに到着。株の中は巨大な空洞になっていて、水も湧き出ています。このあとしばらく急降下を続けると、大株歩道入り口です。8時半ころでした。ここから森林鉄道(トロッコ)の軌道上に引いてある木道となります。ここで安房川を渡ったところに立派な水洗トイレがあります。

 ここからはしばらく単調な軌道歩き。だが、この時間帯を過ぎると大勢の人たちが登ってきます。大人数のグループの大部分はいわゆるエコツアー、ガイドさんに案内されています。もう少し遅く下り始めたら、登ってくる人たちとのすれ違い渋滞で大変になるところでした。

 1時間ほど平坦な軌道歩きのあと、楠川別れ(楠川歩道出合)から楠川歩道(奉行歩道)に入ります。ちなみに屋久島では歩道とは登山道のことです。つまりここからまた山道。しばらくはゆるい登りなのですが、次第に急登になります。疲れた身、久しぶりに重い荷を背負った身にはつらい。途中においしい水があるので、そのたびに飲んでしまいます。地元の人によると、三番目においしいのはペットボトルで売られている縄文水、二番目が町の水道の水、そして一番おいしいのが山の水だそうです。

 辻峠直前でまたヤクシカです。峠到着は10時半ころでした。峠まで来ると、白谷雲水峡からの登ってきた大勢の人たちと合流します。

 ここに荷を置いて、太鼓岩までをピストンします。初めは手も利用しながら登る急登。傾斜も緩くなって巻き道気味になると太鼓岩も近い。空身なので15分くらいで太鼓岩に到着。ここの巨岩でいきなり森林を抜けて展望が開けます。下を見ると小杉谷(安房川)が真下に見えて怖いくらい。ただ、残念ながら朝のうちは晴れていたのですが、この時間帯になると雲が覆い始めて、宮之浦岳などはまったく見えません。残念。でも、ここまで昼食を持ってきた方が正解だった。展望を楽しみながら食事ができたのに。

 辻峠まで下って昼食をとります。11時半には出発。白谷雲水峡を目指します。途中、映画「もののけ姫」が山の雰囲気を借りたというあたりを通過します。コケが立派に倒木や岩を覆って、いかにも深山という感じです。さらに少し行くと白谷山荘(避難小屋)。この先のくぐり杉、さらに二代目くぐり杉、ここで道が分かれます。白谷雲水峡のバスが14時、14時50分なので、そこまで直行する楠川歩道(奉行歩道)を辿らず、いくつかの巨杉(奉行杉、ビビンゴ杉、三本足杉など)を辿る原生林歩道を選びました。結構アップダウンがあり、荷をしょっている身には結構つらい。でもそれ以上に、原生林を満喫できます。ただこの道は、大株歩道(縄文杉までの歩道)よりは状態が悪い。とはいっても、まあふつうの山道です。

 さつき吊り橋から先は、「観光客」でも歩ける道になります。ただ、先日の台風16号、18号のために側道(弥生杉ルートなど)は全部通行禁止でした。白谷雲水峡の管理棟(バス停)は13時40分ごろでした。14時のバスで宮之浦港に戻りました。この日また同じ民宿に一泊して、翌日東京に戻りました。全体で3泊4日の行程でした。

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ようやく明るくなり始めたので、高塚小屋を出発します。 この四阿で朝食をとりました。縄文杉のすぐ上です。 縄文杉です。 木漏れ日の中の木道(木の階段) ウィルソン株
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石の道。もうすぐ森林鉄道に出ます。 森林鉄道上の道から大株歩道(縄文杉への道)入り口を見ます。 軌道上の道。真ん中にしっかり木の道がついています。ただ、川を渡るときはこの通り。 もうすぐ辻峠。ここでもヤクシカに会いました。 太鼓岩から小杉谷(安房川)を見ています。見えるはずの宮之浦岳は見えません。
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ここも「もののけ姫」のイメージ。 ここにもヤクシカが。 ここの花こう岩も(正)長石だけが発達している。 水がほとばしる雲水峡飛竜落とし。 白谷雲水峡の管理棟(右)と、バス停&休憩所。

2004年9月記

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