鷲羽岳と高天原(2017年7月20日〜7月26日)

今回は昔の山中間3人でパーティを組んで行ってきました。日付をクリックすると、その日の行程をご覧いただけます。

第1日目(7月20日) 新穂高〜わさび平〜鏡平 鏡平山荘泊
第2日目(7月21日) 鏡平〜弓折乗越〜双六小屋〜双六岳〜三俣蓮華岳〜三俣山荘 三俣山荘泊
第3日目(7月22日) 三俣山荘〜鷲羽岳〜ワリモ岳〜岩苔乗越〜高天原山荘…からまつの湯 高天原山荘泊
第4日目(7月23日) 高天原山荘〜岩苔乗越〜ワリモ岳〜鷲羽岳〜三俣山荘 三俣山荘泊
第5日目(7月24日) 三俣山荘〜三俣蓮華岳〜中道〜双六小屋 双六小屋泊
第6日目(7月25日) 双六小屋〜鏡平〜わさび平〜新穂高、平湯 平湯泊
第7日目(7月26日) 平湯−長坂(北杜市)

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今回の旅行の行程です。上の画像をクリックするとgoogle map上で全行程をご覧いただけます。
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第1日目(7月20日) 新穂高(1117m)〜わさび平(1400m)〜鏡平(2300m)

 6時ころに自宅近くの駅で集合、中央道経由松本ICで降りて平湯に向かいます。昔は山の中の細い道で大変だった平湯峠超えも、近代的な平湯トンネル(有料770円)ができたおかげで、平湯、新穂高、高山などへのアクセスが楽になりました。新穂高の無料登山者用駐車場には10時ころに到着しました。ところが駐車場は満車状態、ようやく簡易トイレ隣に空きスペースを見つけて車を入れることができました。

 登山指導センターで登山届けを出すときに、予定していたコースの注意点を聞いたところ、とくに問題ないということなので安心して出発です。ところが予定したコースは問題があったことが上の山小屋でわかることになります。指導センターを10時20分ころに出発しました。小池新道入り口までは長い林道(車道)歩きになります。途中の笠新道入り口の水場で一休み、さらに少し行ったところにあるわさび平小屋でも一休み。林道が終わる小池新道からは登山道になります。初めは大きな岩がゴロゴロしている道が続きます。

 秩父沢出合の少し上部にはまだ大きな雪渓が残っていて、冷気が沢を降りてきます。さらに登りは続き、雪渓をトラバースしたり、少し登ったりするところもあります。シシウドヶ原の少し手前の雪渓から「誰かいますか」という女性の声が聞こえてきました。ルートを間違えて雪渓の中程にまで出てしまったようです。登山道に誘導して一安心。シシウドヶ原は雪に埋まっていました。

 シシウドヶ原でいったん登りは緩くなりますが、また急登になってしばらく行くと「あと500m」とか、「あと5分」という岩に書かれた文字が出てきます。これを頼りに少し頑張ると鏡池です。出発したころは晴れていたのに、鏡池に着くころには雲が空を覆って、池から槍ヶ岳や穂高連峰はまったく見えなくなっていました。

 鏡平小屋には16時40分ころ着きました。小屋で宿泊手続きをしたら、小屋の主人が名前を覚えていたようで、6人用の部屋を3人で使えることになりました。部屋の窓からは槍・穂が見える位置です。ラッキー。夕食のころには雲も上がってきましたが、あいにく槍ヶ岳・穂高連峰の方の雲はとれませんでした。

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第2日目(7月21日) 鏡平(2300m)〜弓折乗越〜双六小屋(2550m)〜双六岳(2860m)〜三俣蓮華岳(2841m)〜三俣山荘(2550m)

 朝、3時半ころ外を見たら槍・穂が見えます。そこで、三脚を持って鏡池に行ってってみました。期待通り、月齢26日から27日の細い月の明かりで槍ヶ岳〜穂高連峰の稜線がはっきり見えます。さらに月の近くに明るく輝く金星、これらが水面に映っています。さらに、槍ヶ岳の上にはすばるも見えます。少し撮影してから部屋に戻り、部屋からの展望も楽しみました。

 5時からの朝ご飯を食べて、6時前に出発。まず鏡池に行ってみました。こちらは槍・穂の西側になるのでほとんどシルエット、でも一部に日が当たっている所も見えます。超望遠で拡大すると、槍の頂上にいる人までもが見えました。展望をひとしきり楽しんだあと、6時過ぎに山荘の前を通過して、弓折乗越の登りに向かいます。

 最初から急登でつらい、弓折中段で少し楽になったと思ったらまた急登、何回か雪渓を渡るところもあり、ようやく笠ヶ岳への分岐に出ました。正規の登山道はまだ少し雪に埋まっています。ここから双六小屋までは槍・穂などの大展望を眺めながら、またたくさん咲き乱れる高山植物を見ながらの比較的のんびりとした行程になります。でも、双六小屋が見えてきてもなかなか小屋に着きません。

 ようやくたどり着いた4日目に泊まる予定の双六小屋に挨拶をして、さらに今後の計画を相談します。ともかく今年は残雪が多い、三俣山荘までも双六の直登は急斜面に雪渓が付いているので通行止め、巻き道も急斜面の雪渓をトラバースしなけばならないので避けて欲しい、双六へは春道を使うか、三俣蓮華へは中道なら安全ということでした。天気がいいので、稜線を歩ける春道経由で双六岳に出ることにしました。

 巻き道、中道への分岐を過ぎると双六岳への急登になります。頑張って2860mの双六岳に登れば、三俣蓮華岳まではそれほどの急登・急降下はありません。でも、結構長い。三俣蓮華からの鷲羽岳は対斜面ということもあり、圧倒的な迫力で迫ってきます。三俣蓮華からは結構な急降下になります。少し落ち着いたあたりが巻き道への分岐です。その直後でライチョウに遭遇しました。母鳥と、あと何羽かの雛がいるようです。しばしライチョウを楽しみました。

 三俣山荘に着いたのは、14時半ころでした。計画では山荘に重い荷物を置いて鷲羽岳のピストンをやる予定でした。でも、ピストンをするには少し遅い時間になっていたし、肝心の槍・穂が雲に隠れていたのでピストンをあきらめ、この日はゆっくりすることにしました。個室はなく大部屋です。それでも一人布団一つのスペースは確保できました。喫茶室(食事時は食堂)でビールを頼んでのんびり過ごします。夕方になってくると、一時隠れていた槍ヶ岳も見えてきました。だだ、穂高連峰は相変わらず雲の中です。

 小屋で登山道の状況を聞いたら、黒部源流はまだ雪がびっしり付いていて危ない、融けかかった雪渓を踏み抜くと重大事故になる、祖父岳の登りも雪が付いていて危ない、高天原に行くのなら鷲羽岳を越えて稜線伝いに行くのが体力的にも時間的にも一番いいということでしたので、その助言に従い翌日のルートは稜線伝いにすることにしました。雲ノ平に行けないとすると、翌々日にはこの三俣山荘に戻ることになります。そこで、荷物の一部を預かって貰うことにしました。預かって貰う荷物は衣類中心なので嵩はかなり減りましたが、重さはあまり減りません。それでも気がだいぶ軽くなりました。

 夕食はジビエ(鹿肉のシチュー)にしました。北アルプス周辺も鹿害に悩んで、駆除もしているが大半は埋めている、少しでも協力したいというのが山小屋の意向です。連泊以外のほとんどの登山者は、鹿肉シチューにしていました。また、この日に医療チームの第一団が小屋に到着していました。

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第3日目(7月22日) 三俣山荘(2550m)〜鷲羽岳(2924m)〜ワリモ岳(2880m)〜岩苔乗越(2730m)〜高天原山荘(2130m)…からまつの湯

 天気は晴天、朝、6時前に出発します。予定では重いリュックは置いて空身で登る予定だった鷲羽岳に挑戦です。ただ、昨日荷物を少し山荘に預けたのでこれまでよりは軽くなっています。とはいってもカメラの機材などは全部持って行くのでまだかなり重い。日差しが強くならないうちに、そして槍・穂が見えるうちに頂上にたどり着こうと標高差374mを頑張って登ります。途中影鷲羽が見事に見えました。

 頂上(2924m)到着は7時20分、1時間20分程度で登れました。30年ぶりくらいの鷲羽岳、文字通りの360°の見事な大展望。北アルプスばかりか遠くは富士山まで。そして何といっても鷲羽池を前景にした槍ヶ岳、それに続く穂高連峰。西の方には巨大なカールを広げる野口五郎岳、さらに北西には雄大な薬師岳など。いつまでいても飽きません。

 後ろ髪引かれる思いで、出発です。ワリモ岳頂上直下はロープを頼りに岩場をトラバースしなくてはなりません。ここでも、荷を少しでも軽くしておいてよかったと思いました。水晶岳への分岐(ワリモ北分岐)で、高天原から来たという大勢の団体客がやってきました。道の状態を聞いたら少し雪渓はあるがまったく問題ないということでした。彼らば撮影主体のツアーだそうで、お花畑があるという水晶岳方面にカメラだけを持って出かけていきました。

 ここから少し降りたところが岩苔乗越で、まっすく行くと祖父岳、左に取ると黒部源流、右に取ると高天原という十字路です。ここで大失態。多くのグループがやってきた祖父岳への道に入ってしまいました。とりつきはかなり大きな雪渓の最上部、そこを通過するとふつうの登山道、さらに小さな雪渓を渡ると梯子やロープが出てきます。なんとなくおかしい。休憩ついでに電源を切っていたスマホの電源を入れてGPSで自分位置を確認したらやはり祖父岳への道に入ってしまっていたのでした。祖父岳までもうす少しのようなので、一瞬このまま行こうかとも思いましたが、こうしたときの大原則、わかるところまで戻る、ということで戻ることにしました。まあ、黒部源流を見下ろせたのでよかったとします。

 岩苔乗り越しまで戻ってみたら、道標もしっかりしています。完全にこちらのミス。山小屋の人に祖父岳も危ないと聞いていたので、まさか大勢の人たちが祖父岳から下りてくるとは思わない、てっきりあちらが高天原かと思い込んで、道標や地図をきちんと確認しませんでした。実際歩き出したら、雪渓もたいしたことなかったし。それにても、(事前に山の地図を入れておいた)スマホ+GPSがあって助かりました。

 高天原への道に入ると、すぐに水が流れている沢沿いを歩くことになります。美味しい水です。しばらく行くと沢を離れて森の中の道になります。岩苔乗越(2730m)から高天原(2130m)までは延々と下りが続きます。途中の少し開けたところで大休止。もう少しで水晶池への分岐という登山道の真ん中に巨大な糞がありました。たぶんクマだと思われます。あまり山の中では遭遇したくない動物です。

 高天原は小さな地塘が点在する高層湿原です。山荘はその脇の高台に建っています。到着は14時過ぎでした。道の状態が悪いためもあり、この日の宿泊者はわれわれ3名を含めて総勢9名、小屋は大部屋だけですが、ゆったりと広い場所を占有できました。

 少し休んだ後、温泉「からまつの湯」に向かいます。沢沿いにある温泉で、山荘からは行きは20分、帰りは30分という距離にあります。昔は沢の左岸に脱衣所もない完全露天の男湯と、沢の対岸(右岸)によしずで囲われた女湯の一つずつだけだったはずですが、女湯の隣に屋根もある脱衣所が付いた男湯ができていたので、そちらに入りました。

 だんだん天気も悪くなり雨が降り出しそうだったので、仲間より早めに高天原に戻り展望台に上ってみました。展望台は登山道から少し高台にあるので、高天原が一望できる場所でベンチもあります。写真など撮っていたら予想通り雨が降り出しました。仲間も戻ってきたので山荘に入ります。

 この山荘は「ランプの宿」です。食堂や大部屋の灯りは灯油ランプ、風情があります。ただ、スマホ等の充電はソーラーパネルの発電機があるので、(天気が悪くなければ)お願いできます(1つ100円)。また、地の利も悪いせいか、他の山小屋は1泊2食で9500円でしたが、ここは9700円でした。たしかに、ヘリは使えそうないし、どこから入るにしても大変な場所なのでやむを得ないと思います。それでも、トイレは他の山小屋と同じく簡易水洗(バイオトイレ)でした。食事の内容といい、トイレといい、やはり北アルプスは進んでいると思いました。

左の画像をクリックすると、鷲羽岳山頂からの展望動画(4K60P)が再生されます。動画はyoutubeにアップしたものです。
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第4日目(7月23日) 高天原山荘(2130m)〜岩苔乗越(2730m)〜ワリモ岳(2888m)〜鷲羽岳(2924m)〜三俣山荘(2550m)

 ランプの宿高天原山荘を6時過ぎに出発します。夜中、一時すごい雨で心配でしたが歩き出しの時点では、分厚い雲子をこそあれ雨は止んでいました。この日が今回の行程の中で一番厳しい日かもしれません。歩き出すと細かい雨が降り出し、水晶池への分岐では本格的な雨になってきました。上下のレインウェアを着ます。また、メインカメラ(ミラーレス一眼)もザックの中に収納しました。以後、今回の山行直前に購入した防水カメラを使うことになりました。

 昨日の雨で流れてしまっているかもしれないと思っていたクマの糞(?)が残っていたので写真に撮っておきました。

 予想通り長い、なかなか森林が終わりません。森の中をひたすら登ります。ようやく沢沿いの道になりました。森を抜けると風が強くなってきます。岩苔乗越あたりから稜線に出ると、強風雨です。半袖Tシャツ1枚の上にレインウェアを着ているだけなので寒い。ワリモ北分岐から少し水晶岳側に入った風の弱いところで、長袖Tシャツ、ウールのカッターシャツを着込みます。手がすでにかじかんでボタンがなかなかかけられないほどでした。でも、ここで着替えたのは今後の稜線歩きにとって正解でした。稜線で吹かれてもあまり寒くなかったので。

 強風雨の稜線をひたすら登ります。ワリモ岩直下のロープ頼りのトラバース地点の岩が滑って怖い、でもじつはこうしたところ慎重に行動するのでかえって安全かもしれませn。問題は山荘に近づいてほっとしたときに、何でもない岩に躓いて転倒・骨折事故の方があり得るかしれません。年を取ると単純な転倒でも重大事故になりかねません。ともかくひたすら登ると、やがて鷲羽岳山頂です。風の弱い場所を探して少し休みます。もちろん、展望はまったくありません。

 少し休んだあとは三俣山荘を目指して急降下です。途中対斜面を道が登っていくように見えて不安になりましたが、一瞬ガスの中に三俣山荘が見えて一安心。山荘には13時40分ころ着きました。とりあえずびしょびしょに濡れてしまった服を乾燥室に入れます。ひとまず落ち着いた後、途中行動食も摂らなかったので山荘の喫茶室でラーメン(1100円)&ビール(850円)の昼食にしました。

 確かに黒部源流付近は厳しかったようで、雪渓を踏み抜いて片足がびしょびしょに濡れてしまった人もいたし(怪我はしていませんでした)、われわれよりも少し遅れて高天原を出た人も黒部源流を通過したら大変だった、時間もかかったとも言っていました。山小屋の指導に従ってよかったです。

 ラーメン&ビールのあとはのんびり。夕食はジビエ料理ではなく、ふつうのもの(フライ中心)にしました。小屋についても天気は回復しませんでした。

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第5日目(7月24日) 三俣山荘(2550m)〜三俣蓮華岳(2841m)〜中道〜双六小屋(2550m)

 この日は双六小屋までなので、今回の行程の中では一番楽な日かもしれません。三俣山荘に預けたものや乾燥室に入れておいたものを再パッキングするためにも、出発を7時ころとしました。小屋の掲示板で、来たときは△だった巻き道はこの日は○になっていました。ただ、登山道には雪渓はまだ残っているようなので、いったん三俣蓮華岳に登ってから、中道経由で双六小屋に行くことにしました。

 雨が降り続く中、7時過ぎに山荘を後にします。三俣蓮華岳(2841m)まではきつい。この日はライチョウも出てきません。ただ、来るときの三俣蓮華山頂直下では手も使いましたが、登るときはそれほどの急登はありませんでした。降り口を間違えたみたいです。ここからは丸山の先の中道分岐までは稜線歩き。稜線の西側では猛烈な風雨、でも東側に出ると風もなくほっとします。

 丸山の先にライチョウがいました。ガス、その上めがねが曇ってしまっていて、さらにライチョウと岩が同じ色合いなのでとても見にくい。それでも雪渓の上に出てくれたので、成長3羽のグループであることが確認できました。ひとしきりライチョウを撮ります。

 分岐から中道に降りると風もなくのんびりと歩けます。ちょうど雪渓が融けたあたりを中心に見事なお花畑が広がります。双六小屋には11時10分ころに到着しました。往路で挨拶と予約を入れておいたためもあるし、もちろんシーズンにしてはすいているということもあり、4人部屋をパーティの3人で使えることになりました。少し狭いですが、気楽でいいです。濡れた衣類などを乾燥室に入れます。その後、今日もラーメン(あんかけ五目ラーメン1000円)&ビールの昼食。あとは夕食までだらだらと過ごします。

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第6日目(7月25日) 双六小屋(2550m)〜鏡平(2300m)〜わさび平(1400m)〜新穂高(1117m)、平湯

 いよいよ下山の日です。この日も雨。連日の雨で雪渓がだいぶ融けたためか、往路では×だった登山道もほとんどが○か△になっていました。ただ、双六小屋から双六岳へのとくとルートが×、さらには弓折乗越から笠ヶ岳への登山道は秩父平の雪が多くてアイゼン・ピッケルなしでは通行できないともありました。前日、乾燥室に干した衣類と撤収するときに見つからなかった膝のサポーターを、朝になって仲間が見つけてくれました。これで安心して下れます。

 弓折乗越まで少し登らなくてはなりませんが、そこまで登れば後は下りです。でも下りといっても標高差1400m以上の下りなのでなかなか大変です。小池新道を終えて林道歩きになってからも長いので、この日は6時20分に小屋を出発しました。

 クロユリベンチ付近でクロユリを、花見平でお花畑を撮影しながら登ります。弓折乗越の雪は消えていました。乗越からは下りです。中段に着く前に突然母ライチョウが登山道を横切りました。われわれパーティが登山道にいるので、母ライチョウと一緒にいた雛を残し、他の雛たちと道の左右に別れてしまったようです。母ライチョウが子供呼ぶために何回も鳴きます。しばらくすると雛たちもようやく母親のもとに集まってきました。一安心。

 鏡平の小屋前のベンチで、着込んでいた服を脱ぎ、Tシャツ1枚の上にレインウェイトという格好にしました。ここまで降りればもうそれほど寒くはならないでしょう。あとはとりあえずわさび平を目指してひたすら降ります。シシウドヶ原、秩父沢出合で休止。シシウドヶ原のベンチはまだ雪に埋まっていました。また、秩父沢出合上の雪渓の端(下)からは、雪解け水がほとばしり出ていて怖いほどの迫力でした。

 小池新道が終わり、林道になれば20分ほどでわさび平小屋です。小屋に着いたのは12時20分ころでした。この日も残った行動食は食べずに、わさび平小屋で冷や麦(幟にはそうめんとあるが、メニューでは冷や麦800円)と、沢の水で冷やしたキュウリ(100円)を食べました。

 食事が終わったころから強い雨。それでも少し弱くなってきたので出発。ここからの林道が長い。新穂高の指導センターに戻ったのは14時50分ころでした。下山届を提出しました。下山届には登山路の様子を記入する欄があります。そこで、たとえば黒部源流あたりをいった人(たぶん山慣れている人)が、黒部源流付近も問題なかったと報告するので(確かに技術・体力があれば問題ないでしょうが)、指導センターも問題ないという”指導”になってしまうのだと思います。この辺は改善の余地があると思いました。

 登山者用無料駐車場まではさらに少し歩きます。

 車を回収して、この日の宿平湯の愛宝館に向かいます。愛宝館は平湯の中心近くある、外観は少し古めの宿でした。まず濡れた衣類などを干すために乾燥室を開けて貰いました。部屋は、3人には少し広めの部屋を確保しておきました。温泉は内湯と露天風呂があります。荷物を部屋に入れて早速温泉に。食事は今時珍しい、部屋食なのでのんびりです。食事の後、近くのお土産屋さんをのぞいてみました。

左の画像をクリックすると、秩父沢出合の雪渓から迸り流れ流れ出る水の動画(フルハイビジョン)が再生されます。動画はyoutubeにアップしたものです。
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第7日目(7月26日 平湯−長坂(北杜市)

 帰京日です。夜中に不安になるほどのすごい雨音が聞こえていましたが、朝早く起きたころには納まっていました。朝食の前に最期のお風呂。

 まっすぐ帰っても何なので、高速の途中で降りて食事をすることにして出発。まず平湯なので平湯大滝を見に行くことにしました。平湯大滝へは、国道158号脇の無料駐車場(料金徴収所が閉鎖されていました)から歩いて10分くらいの所にあります。滝の近くには駐車場やトイレなどもありますが、こちらは完全に閉鎖されているようです。ここから滝の展望スポットまではごくわずかです。ただ、滝壺には近づけません。高さ64m、幅6mという平湯大滝は、数日来の雨で水量が増して迫力がありました。

 駐車場に戻り、国道158号を平湯トンネルから懐かしい新島々を通り抜け、松本ICから中央道(長野道)に入ります。中央道長坂ICで降りて北杜市にある翁というおそば屋さんに寄ってみました。翁は“橋名人”のお弟子さんがやっているお店です。近くには清春白樺美術館(ルオーの収集)もあります。でも、このあたりは街の中心部からはかなり離れたところ、車でないと来づらいところにあります。それでも、繁盛しているということはそれなりのお店なのでしょう。翁は森の中の家というイメージの建物です。ざるそば(880円)と田舎そば(880円)の二枚のそばを食べました。

 あとは東京に戻るだけ、中央高速ではかなり長い渋滞が報告されていましたが、じょじょに解消されたようで地元ICまでほぼ順調に戻ることができました。

 今回の山行は、予定していた雲ノ平周回コースをとることができず、新穂高−鷲羽岳−高天原(温泉)のピストンになってしまいました。つまり、3日間かけて温泉に行き、3日間かけて戻ってきたということになります。それでも、往路の鷲羽岳からの眺望、復路は荒天になってしまったとはいえ数多くの高山植物を見ることができ、さらには3回もライチョウに遭遇できたので、実りの多いものでした。また、各山小屋の食事も質が上がり、トレイ事情(バイオトイレ)も昔とはまったく違って快適になってきていました。ただ、年齢的にはこのような厳しいコースは今後なかなか難しいとも実感させられた山行でもありました。

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