アメリカ版大学地球科学の教科書 固体地球編(上・下) J.グロチンガー・T.ジョーダン 横山祐典監修 小松佳代子訳 講談社ブルーバックス ISBN978-4-06-526932-9・ISBN978-4-06-526933-6 各2,100円 各2025年8月
全4巻の予定だそうだ。今回の2巻は固体地球。残り2巻は大気と海洋、さらには惑星(太陽系)になるのだろうか。原著は2007年からの出版、アメリカのいくつかの有名大学で教科書として採用されているそうだ。いわゆる一般教養か。レベル的には日本の高校地学+α程度。
特徴は全面カラー、内容的には基本的にプレートテクトニクスで押しているところ。鉱物・岩石や地層のことなど、かつての日本の高校地学のように地質学的内容も多い(詳しい)。
日本の高校地学(中学の地学的内容)とは、少し用語などのニュアンスが違うので、そのへんは解説・補注などが必要だと思う。初めて地球科学の教科書的なこの本を読むなら、鉱物・岩石・地層などは読み飛ばしていいと思う。
年代測定は正統・基本のアイソクロン法を説明してる。でもこれは難しいと思う。アイソクロン法の対象となる岩石は、岩石の中での部分部分(鉱物)による放射性同位元素の含有量の違うというのが大前提。その中の、親元素の減り方・娘元素の増え方に差ができるので、それを逆算していくという方法がアイソクロン法。微分方程式の「初期値」問題を回避する巧みな方法。だから、どうしても説明は難しくなる。
目次は各巻の裏表紙参照。
以下、上巻で気になるところ。訳の問題が大きいが、そうでもないものもある。
p.32 剪断波→ねじれ波、横波、S波 粗密波→縦波、P波
p.36 ケイ素 シリカが不統一
p.69 スラブの説明がない → (プレートが沈み込んでいる部分)
p.82 全地球測位システム(GPS) → GNSS
p.116 固溶体という言葉を使った方がいい
p.158 オンス(oz) → SI単位系に統一、せめて1オンス=28.5
g の表記が必要
p.159 脈 → 日本では鉱脈・岩脈が一般的
p.160 鉱染鉱脈 → あまり使われない。日本ではたんに「鉱脈」が多い。
p.182 中性岩 →中間岩 中性岩だと酸性岩と塩基性岩の間の意味。いまは酸性岩・塩基性岩はあまり使われない用語。
p.201 プルトン → あまり使われない
p.246 1815年タンボラ火山噴火による寒冷化 → それほどはっきりしない
以下、下巻
p.112 引張力 → たんに「張力」
p.113 剪断力と断層 → 一つの剪断力だけだとモーメントになる。破壊(断層)を熾すためには回転を押さえるダブルカップルのモーメント(圧縮力・張力と等価)、5枚目の図を参照。
p.158 シーケンス → 整合?
p.169 無整合 → 不整合?
p.198 震源の深さ(20km以上のものはほとんどない) → 深さ20km以上でも断層(東日本太平洋沖地震の震源の深さは24
km)。
p.207 地震波 → 上巻と統一、S波物質の移動 → 物質の振動
p.211 マグニチュード → リヒタースケールとモーメントマグニチュードの提唱者(金森博雄)
p.261 粗密波 → p.207や上巻と関係 物質の移動→振動
p.283 融氷期 → 間氷期
p.301 磁場の逆転、熱残留磁気の発見 ←磁場の逆転の発見は19302年代(“松山期”については記述あり)、熱残留磁気は1950年代。
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2025年12月