豊臣家の女たち 福田千鶴 岩波新書 ISBN978-4-00-432086-9 1,060円 2025年10月

 筆者は、一夫一婦制は江戸時代から始まったので、秀吉の時代は一夫多妻制、だから秀吉には“妾”ではなく、たくさんの“妻”がいたという立場(つまり茶々(淀君)は愛妾ではなく寧(北政所)と同じく“妻”だったとする立場)、さらに秀頼は秀吉の“実子”であるとも主張する。

 秀吉の“妻”ばかりか、母、妹、秀次や秀長の妻、さらには豊臣家の奥女中までさまざまな女性を紹介する。とても登場人物が多く、「相関図」があった方がわかりやすいと思う。筆者には当たり前の人たちでも、読者にはそれほどなじみ深い人たちばかりではないと思う。もちろん男性主体の「系図」は冒頭にあるが、女性主体の系図と、それに彼女たちに仕えた奥女中という図も欲しい。

 この件でいつも思うのは、結局戦国の覇者は織田家と浅井家だったということ。信長の妹市と浅井長政の子どもたちの三姉妹、茶々、初、江(ごう)がいて、江と二代目将軍秀忠との子が三代目将軍家光になるので。

toyotomikenoonnatachi-01.jpg (86494 バイト) toyotomikenoonnatachi-02.jpg (89413 バイト)

目次
はじめに
 豊臣家・京極家・織田家略系図
第一章 豊臣秀吉の家族
 1 語り継がれる「大政所」像――秀吉母
 2 豊臣家の栄枯盛衰を見届けた姉――智
 3 秀吉の妹・家康の妻――旭
 4 豊臣秀長とその妻子
 5 三条河原で斬殺された豊臣秀次の妻子
 6 小早川秀秋と離縁した妻――毛利輝元養女
 7 豊臣秀頼の怨念に苦しんだ妻――徳川千
第二章 一夫多妻の豊臣家
 ◎本章を理解するための予備知識
 1 離縁の危機を乗り越えた最初の妻――浅野寧
 2 歴史から抹殺された「南殿」と「石松丸」
 3 妻の地位から脱落した織田信包の娘――姫路
 4 秀吉の最大の寵愛を受けた妻――京極龍
 5 二人の若君の母――浅井茶々
 6 妙顕寺城天守に置かれた織田信長の娘――三の丸
 7 「聚楽天主」と呼ばれた妻――前田摩阿
第三章 秀吉の婚姻戦略──養女たちの行方
 1 秀吉の愛しの隠し子――前田菊
 2 太閤秀吉の秘蔵の娘――前田豪
 3 怨霊となった養女――「小姫」
 4 婚約を解消させられた豊臣秀長の次女きく
 5 将軍家御台所となった浅井江
 6 豊臣家の血筋を伝えた豊臣完子
第四章 豊臣家を支えた奥女中たち
 1 豊臣家と徳川家に仕えた女傑――孝蔵主
 ◎ 奥女中の組織
 2 豊臣家老女のナンバー2――ちゃあ
 3 「関ケ原合戦」まで浅野寧を支えた東・こや
 4 品行方正なキリシタン――客人
 5 豊臣家の奥向の「総締まり」――朝日
 6 浅井マリアと京極マグダレナ
 7 二人の天下人から大切にされた高畑鍋
第五章 大坂の陣をめぐる女たちの攻防
 1 浅井茶々の二人の乳母――大蔵卿と南
 2 大坂の陣を生き延びた茶々付の老女――二位
 3 早々に命を絶った三位と正栄
 4 茶々が切望した大上掾\―伊勢あこ
 5 浅井家出身の老女――海津と饗庭
 6 秀吉の親族出身の乳母――右京大夫
 7 秀頼がもっとも心を許した乳母――宮内卿
 8 大坂城を脱出した女中――山口菊
 9 豊臣と徳川の橋渡しだった常高院――浅井初
 関連年表
 読書案内
 おわりに

2025年12月

戻る  home