宇宙暗黒時代の夜明け 島袋隼士 講談社ブルーバックス ISBN978-4-06-541727-0 1,000円+税 2025年11月
筆者が研究している「宇宙暗黒時代の夜明け」の話だけではなく、宇宙全史と宇宙論の解説もあるので、これ一冊でも宇宙のことがわかるようになっている。
各章の宇宙全史の扉絵は薄くて見づらいが、最後に(218ページ)に筆者の立場の宇宙全史が見やすい図として載っている。
153〜154ページに、「中心に超巨大ブラックホール持った天体のことを『クエーサー』といいます。」あっさり書かれていた。もうクエーサー(準星)の正体は解決済みだったのか。天文学辞典(web)では、「可視で明るい(一つの基準として、絶対等級が-23等以下)活動銀河核はすべてクェーサー」と定義が述べられ、ついでたしかに、「クェーサーの中心部には1億太陽質量を超えるブラックホールがあると推定されている。」とあった。
https://astro-dic.jp/quasar/
あと、AIとの関係も興味深い。すでに将棋の世界がAIなしでは成立しないように(たとえが悪いか)、天文学もAIなしではやっていけない時代になっているようだ。この本では本文でも、コラムでもAIと研究の関係について書かれている。AIを使っているのは「アイデアの構想」「プログラムによる計算」「結果の論文化」だという。後ろ二つは誰もが納得すると思うが、最初の「アイデアの構想」については、“AIがヒトに敵わないものが独創的な発想”と思い込んでいる人も多いと思う。でも、現場はすでにそうではなくなっている。筆者はさらにどうAIを利用するのかも研究している。現在ではAIが出す結果を評価・判断できるかがヒトの能力として問われている時代。でも、それがいつまで続くか…。
コラムではもう一つ「大学教員になるには」というものもある。筆者もポスドク時代、複数の大学を渡り歩き、2022年(1987年生まれだから35歳)でようやく任期なしの職(雲南大学)を得たという。じっさいは35歳までで任期なし職を得られなかったら、企業への就職も考えていたそうだ。なかなか安定した職を得るのは大変そうで、若い人たちには勧めづらい道。
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2025年12月