5 環境汚染と環境破壊

 破壊することは簡単でも、修復することは難しい。環境もまず、できるだけ壊さないようにしなくてはならない。

5・3 内分泌かく乱(攪乱)物質(いわゆる環境ホルモン)

体内に取り入れられた物質が、正常なホルモンの活動を阻害する可能性が指摘されている。このような物質を内分泌かく乱物質(いわゆる環境ホルモン)という。具体的には生殖機能を阻害したり(とくに男性の精子の数を減らすことが心配されている)、悪性腫瘍(ガン)を引き起こすなどの悪影響を及ぼす可能性があるという。全貌はまだ不明な点が多い。

 このような恐れのある物質としては、前記のダイオキシンを始め、合成洗剤、プラスチック(の可塑剤)、農薬、合成ホルモンなど、少なくとも数百、実際にはそれ以上はあるといわれている。

 ただし、多摩川などの魚類の雌化は排水中(に含まれていたヒトの尿中)の女性ホルモンが原因であるとか、また貝類など無脊椎動物は脊椎動物とは内分泌系が違うのでそのままほ乳類(ヒト)に当てはめることはできないなどの反論もある。

 そこで環境省は、1998年に疑わしい化学物質65をリストアップして調査を開始した。しかし、明確に内分泌を攪乱するような証拠が得られなかった(20種類を試験して、そのうち3種類はメダカを雌化する作用が確認されたが、ラットでは確認できなかった)。そこで今後は、第三者機関(専門家、市民団体、業界からなる)で調査すべき物質を選定することにした(2004年12月)。

「内分泌かく乱化学物質問題への環境庁の対応方針について」(環境ホルモン戦略計画SPEED'98)
http://www.env.go.jp/chemi/end/endindex.html

「内分泌かく乱作用に関する環境省の今後の対応方針について ExTEND2005」
http://www.env.go.jp/chemi/end/extend2005/index.html

「化学物質の内分泌かく乱作用に関する情報提供サイト」
http://endocrine.eic.or.jp/

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