5 環境汚染と環境破壊

 破壊することは簡単でも、修復することは難しい。環境もまず、できるだけ壊さないようにしなくてはならない。

 

5・6 砂漠化

 1991年のUNEP(国連環境計画)の砂漠化の現状等に関する調査によれば、砂漠化の影響を受けている土地の面積は、地球上の全陸地の約4分の1、耕作可能な乾燥地域の約70%に当たる約36億haに達し、世界人口の約8分の1、約9億人がその影響を受けているという。そして、現在実際に、毎年毎年、九州+四国の面積が砂漠化しているといわれている。

 砂漠化とは、「土地に備わった生物生産力の減退ないし破壊であり、終局的には砂漠のような状態をもたらす現象」(国連砂漠化防止会議)、あるいは「乾燥、半乾燥、乾燥半湿潤地域における種々の要因(気候変動及び人間の活動を含む。)に起因する土地の劣化」(国連砂漠化対処条約)とされているが、最近では植生の退行現象あるいはそれをもたらす土地の劣化と同義語として使う場合もある。

※ 砂漠、沙漠とも同じ意味だが、砂漠だと砂の砂漠のイメージが強いということから、沙漠という文字を使う人もいる。英語のdesertは不毛の土地、荒れ地、見捨てられた土地などの意味が含められている。

 サハラ砂漠の南の地域(サヘル)が深刻である。昔は砂漠化につながらなかった小雨でも現在は危ない。それは、植民地時代の農業形態(商品作物の単一栽培)を引き続けざるを得なかったため、そもそも穀物の生産が重視されなかったこと。そしてそこに人口増の圧力が加わる。その人たちが牛などの家畜をできるだけ持とうとするこの地方の文化もあり、残り少ない緑の割りに牛が多くなりすぎるという過放牧の問題がある。その牛たちが少ない緑を食べ尽くしてしまい、たまに雨が降るとたちまち土が流されてしまう。またごくわずかに残った土も、牛が踏み固めてしまう。ますます緑が少なくなる。そこに牛が集中するという悪循環が生じるのである(図5-5-1参照)。

図5-5-1 砂漠化のメカニズム


図5-5-2 砂漠化する地球(環境省)
http://www.env.go.jp/nature/shinrin/sabaku/index_1_1.html

 

 サヘル地方ばかりではない。熱帯雨林の伐採も砂漠化につながる。もともと熱帯雨林は有機物の循環が速く、木々を支える土の層は薄い。熱帯雨林を伐採すれば、多量の降雨があっという間に表土を洗い流して、その地方を砂漠化してしまう。2・3(森林資源)参照。

 熱帯雨林ではないアメリカの耕地ですら、土壌の流出に悩んでいる。また乾燥地帯では塩害も深刻である。

 

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