ブラジルとギアナ高地(8月29日)

エンジェル・フォールへ

 この日はエンジェル・フォールを目指す、今回の旅行のクライマックスです。4時に起き、ロッジでクッキー&コーヒーで目を覚まし、まだ暗い4時45分に出発。雨期で増水したオリノコ川の支流カラオ川を小舟で遡ります。川が増水していないと、この船での遡りができないので、エンジェル・フォールに近づくことが困難になります。また、雨期だと水量が多い迫力のある滝を見ることができます。ただ、雨期だと雨になったり、滝が雲に隠れてしまうことが多くなってしまいます。

 エンジェル・フォールは天使の滝ではなく、金を探してこのあたりを飛行機で飛んでいたジミー・エンジェルが、1937年に偶然に発見・報告したので(もちろん先住民は以前から知っていたでしょう)、彼の名がつきました。私が子供の頃は、いつも雲に隠れている幻の滝ということになっていました。

 途中のマユパ(マユ族がいたところ)の急流は、人を乗せたままでは航行できないので、人はいったん降りて45分くらい歩きます。空身で急流を乗り切った船に再び乗って、オルディキア(ランの花がたくさんあった)島へ。島といっても砂州ではなく、たんに上陸しやすい場所をいうようです。オルディキア島で朝食をとります。

 45分ほどの朝食タイムのあと、再び船でさらに上流へ。乾期にはここから先が遡航できません。途中でカラオ川の支流チュルン川に入り、さらに遡ります。2時間ほど航行し、エンジェル・フォールが見え出すと、上陸地点ラトンシート(小さいネズミ)島です。ここからは歩いてエンジェル・フォールの展望台を目指します。島にはハンモックが吊ってある宿泊施設もあります。

 船に乗っている間は防寒防風用に着ていた長袖Tシャツ、レインウェアを脱ぎ、上はTシャツだけ、下は長ズボンにスパッツ、靴は簡易トレッキングシューズ、そしてストックという装備にしました。

 10時45分頃、ジャングルの中を歩き出しました。早速簡単な徒渉地点があります。最初はほぼ平坦な道ですが、最後の三分の一くらいはかなりの登りになります。全体で200m程度の登りです。かすかに滝が落ちる音も聞こえてきます。急登をがんばると、突然エンジェル・フォールが見え出し、そして展望台になります。展望台までは歩き出して1時間強の距離です。船で3時間、歩いて1時間でたどり着きました。

 すばらしい。心配だった上部のガスも取れ、全体が見えます。水量も多く大迫力。高さ979mを一気に落ちてきます。あまりに高いので、途中で滝が霧状になってしまいます。そのために滝壺がありません。でもその水滴が再び集まり、川となって流れてきます。まさに、李白の「日照香炉生紫烟、遙看瀑布挂長川、飛流直下三千尺、疑是銀落九天」(日は香炉を照らし紫烟を生ず、遙かに看る瀑布の長川に挂くるを、流直下三千尺、疑うらくは是れ銀河の九天より落つるかと)という世界。廬山の滝を見ただけでこれですから、李白がエンジェル・フォールを見たらどのように表現したことでしょう。

 1時間近く展望を楽しんで、もとの道を戻ります。ラトンシート島近くに展望がいい場所があったので、そこで休憩、写真撮影。ラトンシート島に戻ったのは14時近く。そこで、薪で焼いたトリ(チキン)が昼食です。

 帰りの船は流れに乗って猛スピード。しぶきを浴びながらの航行となります。マユパの急流は帰りも徒歩で迂回しました。こちらではだいぶ雨が降ったようで、一時道が川になっていたようです。道の砂にきれいな模様がついていました。再び船に乗ろうというとき、日が沈み始めました。宿に戻るころは、すっかり日が暮れていました。

 エンジェル・フォールの全体を間近に見ることができ、本当に旅のクライマックスとなりました。滝の展望台まで船と徒歩の合計4時間かかったことで、かえって感激が増したと思います。

 なお、29日、30日のエンジェル・フォールの写真はgoogle(Picasoweb)にもアップしました。http://picasaweb.google.co.jp/103333577191346048366/EngelFalls?feat=directlink#。

写真はクリックすると拡大します。戻るときはブラウザの“戻る”ボタンをご利用ください。

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近くの傘雲がかかっている山が赤く染まりました。別の小舟もエンジェル・ボールを目指しています。 アウヤン・テプイが見え出しました。最大のテプイで、頂上大地は東京の区部くらいもあります。 マユパの急流の部分は、歩きます。現地ガイドさんが先行しています。 小さな滝がたくさん見えてきました。ただガスっています。 別な船が先にオルディキア島に上陸しています。右に見えている建物で朝食です。
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船は急流を遡ります。 もう下ってくる船もいます。ラトンシート島でハンモックで寝て、朝エンジェル・フォールを見に行ってきた人たちです。 船が巻き上げる水滴に虹が出ました。 赤い岩(碧玉?)の川底が見えています。船頭さんは巧みにこのような浅瀬を避けます。 とうとうエンジェル・フォールが見え出しました。
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徒渉地点。ガイドさんのように最初から裸足なら簡単、でも足を濡らさないようにすると逆に滑ったり? ジャングルの中を先行するガイドさん。裸足で歩いています。手に持っているのは、今朝伯父さんにもらってしまったという弓です。 エンジェル・フォールが見え出しました。 エンジェル・フォールです。落差世界一、979m(約1km)の滝です。 「滝壺」部分の拡大。でも、滝壺がありません。
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中間部。もはや霧状になって渦巻きながら落ちています。 滝の落ち口。岩の隙間から落ちているようです。 右からも小さい滝が落ちいます。 横位置で全体写真。 頂上部に雲がかかり始めました。
エンジェル・フォールの動画です(約1分、32MB) aug29-22.jpg (289533 バイト) sug29-23.jpg (169569 バイト) sug29-24.jpg (112065 バイト) sug29-25.jpg (91475 バイト)
youtubeにリンクします。 ラトンシート島近くから撮影。上部が雲に隠れてしまいました。 昼食のトリを焼いています。 ラトンシートからエンジェル・フォール。これでお別れです。再び上部が見えています。 赤い花が咲いています。
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帰りも船が巻き上げる水滴に虹が見えました。 朝、傘雲がかかっていた小さなテーブルマウンテン。 アウヤン・テプイともお別れ。 夕焼けです。 ワインでお祝い。

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