第一部−2− 宇宙の科学

このページの目次
第4章 太陽系(1)
1.惑星(1)
a.内惑星と外惑星
b.地球型惑星と木星型惑星
c.惑星の視運動
d.惑星現象
e.会合周期
用語と補足説明
参考になるサイト

第4章 太陽系(1)

1.惑星(1)

 太陽と、太陽のまわりを回る天体を総称して太陽系という。太陽を回る天体のうち、比較的大きなものを惑星という。太陽系の他の天体は、準惑星(dwarf planet)、太陽系小天体(small solar system bodies、衛星となる。

 従来はこれまでの慣習で、太陽に近い方から水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星、めい王星(冥王星)の9つを惑星といっていた。ところが、観測技術の飛躍的な進歩により、めい王星以遠にもめい王星より大きな太陽系天体が見つかったこと、そもそもめい王星の軌道面が他の惑星と比べて大きく傾いていること、まためい王星は発見されころ推定されていたよりもかなり小さい(半径は水星の半分以下、半径も質量も月よりも小さい)ことが明らかになってきた。こうしたことを踏まえ、2006年の国際天文連合において、惑星の定義めい王星の位置づけが採択で決議された。

 この取り決めによると、太陽系の惑星は水星金星、地球、火星木星土星天王星海王星の8つとなる。

 準惑星(dwarf planet、小さい惑星という意味だが、小惑星という意味ではない)としては、めい王星セレスエリス(2003_UB313) 、マケマケハウメアの5つ(2008年9月現在)。

 太陽系小天体(small solar system bodies、小さい太陽系の天体)は、小惑星彗星trans-Neptunian object (TNOs、トランス・ネプチュアン天体)を総称する。ただし今後、trans-Neptunian object (TNOs、トランス・ネプチュアン天体)から、さらなる dwarf planet が発見される可能性が高い。

 惑星の中には、地球が月を持っているように、惑星のまわりを回る衛星をもっているものも多い。ただし、2006年9月現在、衛星については定義されていない。

太陽と惑星の大きさの比較(一番左太陽、あとは水星〜めい王星)の大きさ:http://solarviews.com/raw/misc/ss.gif

各惑星の自転の向き、金星と天王星以外は同じ向き:http://solarviews.com/browse/misc/obliquity.jpg

太陽系の惑星の軌道:http://www.sciencemonster.com/planets.html

 

a.内惑星と外惑星

 惑星の公転の速さは、太陽に近い方ほど速いという特徴がある。これは太陽には惑星を動かす力があることを示唆している。その力は太陽に近いほど強く、太陽から離れると弱くなるということもわかる。詳しくはケプラーの法則を参照。

 地球より内側で太陽の周りを回っている水星と金星を内惑星という。内惑星は地球より公転の速さが速いので、地球を追い抜いていくことになる。

 地球より外側で太陽の周りを回っている火星、木星、土星、天王星、海王星を外惑星という。地球は外惑星を追い越していく。

  

内惑星(左)と外惑星(右)の軌道、右の目盛りがAU:http://www.solarviews.com/eng/solarsys.htm

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b.地球型惑星と木星型惑星

 太陽に近い水星、金星、地球、火星は、金属の核とそのまわりを取り巻く岩石のマントルという、地球と同じような構造をしている。地球の内部構造はこちらを参照。これらを地球型惑星という。地球型惑星の半径は比較的小さいが、密度は大きい。また、自転は遅い。さらに衛星を持たないか、持っていても少ないなどの特徴がある。

 太陽から遠い木星、土星、天王星、海王星は水素とヘリウムといったガスを主体とする惑星であり、これらを木星型惑星という。木星型惑星の半径は大きいが、密度は小さい。自転は速い。また、たくさんの衛星と環をもっている。最近は木星型惑星を、狭い意味での木星型惑星と天王星型惑星にわけることもある。

 冥王星はいずれに属さない、氷と塵でできた彗星のような天体で、本来はカイパーベルトに属する天体と考えられる。

 太陽からの距離に応じて、性質の異なる惑星が並んでいるということは、太陽系の起源に対して大きな示唆を与える。

 これら惑星の一覧表はこちらを参照

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c.惑星の視運動

 地球は内惑星に追い抜かれたり、外惑星を追い抜いたりするので、地球から見た惑星の天球上の運動は複雑である。星座をつくっているように恒星はお互い同士の位置を変えないし(天球上を動かない)、太陽はその天球上を単純に西から東に向かって1年で1周している。ところが惑星は、太陽のように天球上を西から東に動くこともあるし(順行)、逆に東から西に動くこともある(逆行)。下のようにループを描くこともあるまた順行から逆行へ、逆行から順行へと変わるときに天球上をほとんど動かないようになることもある(留)。こうして惑星は、天球上を惑う星ということで、“惑星”という名が付いた。英語のplanetもギリシャ語の“さまよう”(planetary)が語源になっている。

 昔はこうした複雑な惑星の運動を説明するのは大変であった。これについては天動説と地動説のページを参照。こうした天球上の不思議な動きが、占星術に使われもした。だが、上に書いたように、地球は内惑星に追い抜かれる、外惑星を追い抜くということがわかれば、これは簡単に説明できる。下の図の同じ番号は同じ時刻での地球と惑星の位置を示す。つまり、地球が1→2→3→…と動くとき、惑星も1→2→3→…と動いている。

 


内惑星の順行と逆行


外惑星の順行と逆行

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d.惑星現象

 太陽-地球-惑星が特殊な位置関係になることがある。これを惑星現象という。

 惑星が太陽の方向に見えることを合というが、内惑星には太陽に方向に見えるときが2箇所ある。地球-内惑星-太陽と並んだときと、地球-太陽−内惑星と並んだときである。前者を内合といい、後者を外合という。惑星の軌道と地球の軌道は同一平面にないが、たまたま地球−内惑星-太陽が一直線上にあると、惑星が太陽の前面を通過する様子が見える。外合の位置のときは、同一直線上になくとも、真昼になっているので皆既日食などの特別なときでないと見ることはできない。

 また、内惑星は見かけ上太陽からもっとも離れる位置があり(そのとき太陽となす角度を最大離角という)、それ以上太陽から離れることはない。これは地球から引いた内惑星の軌道の接線上に内惑星が位置するときである。太陽の東側(北半球では太陽の左側)でもっとも太陽から離れる角度を東方最大離角、太陽の西側(北半球では太陽の右側)でもっとも太陽から離れる角度を西方最大離角という。

 金星は東方最大離角付近にあるときには、夕方西の空に宵の明星として見え、西方最大離角最大離角付近にあるときには、明け方東の空に明けの明星として見える。

 金星の最大離角約45°(47.8°)である。地球の自転は1時間で15°(24時間で360°)であるので、金星は最大離角の位置にいても、太陽は地平線上に出ているときは見えないとすると、日没後の3時間か、夜明け前の3時間しか見えないことになる。水星の最大離角は約30°(28.3°)なので、この時間は2時間しかなく、しかもそのときは地平線からそれほど高くは登っていないので、非常に観測しづらい惑星である。

 また、内惑星を望遠鏡で観察すると、月のように満ち欠けをすることもわかる。

 外惑星は単純で、太陽の方向に見えるとき、すなわち地球-太陽-外惑星と並んだときが合、逆に太陽−地球-外惑星と並んだときを衝(しょう)という。衝のとき、外惑星は真夜中に南中する。一方、衝の位置がない内惑星は真夜中に見えることはない。

 

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e.会合周期

 地球-太陽-惑星がある特殊な位置関係になってから、再びその一巻に戻るまでを会合周期という。例えば、内合から内合まで、あるいは衝から衝までの時間のことのである。

 内惑星の場合は、1/P - 1/Eとして絶対値をはずせばよい。

 太陽のまわりを回っている(動いている)地球から、惑星の公転周期を直接観測で求めることは難しい。しかし、会合周期を観測で求めることは簡単である。そこで、惑星の公転周期は、まずその惑星の会合周期を求め、上の式から公転周期を求めている。

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用語と補足説明

太陽からの順めい王星の軌道はかなりつぶれた楕円形なので、場合によっては海王星の軌道の内側に入り込むことがある。最近では、1979年1月〜1999年2月がそうであった。

天王星型惑星天王星と海王星は、ガス主体(ガスは10%くらい)というより、氷(H2Oの氷だけではなく、メタンやアンモニアの“氷”も含んでいる)主体なので、木星型惑星からわけて天王星型惑星とするようになってきた。こうした惑星のタイプ(型)の違い、それも太陽に近い方に地球型惑星が、太陽から遠いところに天王星型惑星が、その間に木星型惑星がきちんと別れて存在していることは、太陽系の起源と深く関係していることを思わせる。

冥王星は惑星か「天文学」的には惑星といえないとしても、どのみち惑星の明確な定義はないし、慣習として第9番目の惑星ということが定着しているので、当面、惑星の座から降ろさないというのが国際天文連合の態度だった。これについては、国立天文台天文ニュース(No.234 1999年1月14日)、同(No.238 1999年2月04日)参照。ところが、2006年8月24日の国際天文連合で決議された惑星の定義から、めい王星は惑星ではないことになった。

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惑星の定義2006年8月24日の国際天文連合によって、衛星をのぞく3つの種別が定義された(衛星はまだ未定義)。日本学術会議「太陽系の惑星の定義」(2006年9月4日)参照。下の定義によって、めい王星はdwarf planet となる。なお dwarf とは小さい(矮)という意味。また、めい王星以外の dwarf planet は従来小惑星とされたセレス(下の定義からセレスは小惑星帯に属する dwarf planet となる)、2003年に発見された2003UB313 の3つである。また、注3の trans-Neptunian object (TNOs、トランス・ネプチュニアン天体)とは海王星以遠の太陽系天体という意味である。

(1) 太陽系の惑星(1)とは、(a) 太陽の周りを回り、(b)十分大きな質量を持つので、自己重力が固体に働く他の種々の力を上回って重力平衡形状(ほとんど球状の形)を有し、 (c)自分の軌道の周囲から他の天体をきれいになくしてしまった天体である。

(2) 太陽系の dwarf planet とは、(a) 太陽の周りを回り、(b)十分大きな質量を持つので、自己重力が固体に働く他の種々の力を上回って重力平衡形状(ほとんど球状の形)を有し(2)(c) 自分の軌道の周囲から他の天体をきれいになくしておらず、(d)衛星でない天体である。

(3) 太陽の周りを公転する、衛星を除く、上記以外の他のすべての天体(3)は、small solar system bodies と総称する。

1: 惑星とは、水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星の8つである。

2: 基準ぎりぎりの所にある天体を dwarf planet とするか他の種別にするかを決めるIAU の手続きが、今後、制定されることになる。

3: これらの天体は、小惑星、ほとんどのtrans-Neptunian objects、彗星、他の小天体を含む。

 なお、 日本学術会議はdwarf planetの訳語として“準惑星”、small solar system bodiesの訳語として“太陽系小天体”、またtrans-Neptunian objectsは“太陽系外縁天体(外縁天体)”を推奨することになった。日本学術会議の「対外報告 国際天文連合における惑星の定義及び関連事項の取り扱いについて」(2007年4月9日)参照。さらに学術会議は国勢天文連合に対し、trans-Neptunian objectsの中にサブグループとしてめい王星型天体(plutonian object)を儲けることを提案するという。

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めい王星の位置づけ2006年8月24日の国際天文連合の決議により、めい王星は下のような天体とされた。日本学術会議「太陽系の惑星の定義」(2006年9月4日)参照。つまりめい王星は、trans-Neptunian object (TNOs)のリーダーともいえる天体ということになる。また、rans-Neptunian object はエッジワースカイパーベルト天体(EKBO)ということもある。このような天体についてはこちらを参照冥王星は上記の定義によって dwarf planet(準惑星) であり、trans-Neptunian object (太陽系外縁天体)の新しい種族の典型例と認められる。

 さらに、2008年夏の国際天文連合において、dwarf planet(準惑星) であり、trans-Neptunian object (太陽系外縁天体)である天体に対して、めい王星型天体(Plutoid)という名称が決まった。2008年6月現在、めい王星型天体はめい王星とエリスの二つである。この件については国立天文台のアストロトピックス387(2008年6月13日)参照。

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西から東に動く北半球では、太陽や惑星は朝晩をのぞけば南天に見える。だから太陽は惑星を見るときは南の方を向いているはずである。このように南を向いたとき、左側が東、右側が西になる。もちろん太陽は1日では、東(左の方)から昇り、右へ動いて西(右の方)に沈む。これが日周運動である。

 しかし、1日1日ごとでは、もし昼でも星座が見えればその星座の間を右から左にゆっくりゆっくり(1日で1°ずつ)動いて見える。あるとき恒星と太陽が重なって南中したとすると、次にその恒星が南中したときには太陽はまだその恒星の左(東)側に見えることになる(恒星日と太陽日を参照)。その差が時間にして4分、角度にして1°(地球の自転は24時間=1440分で360°なので1°回転するのに4分)である。つまり、西から東に天球上を1日に1°ずつ動くように見える。これが太陽の年周運動である。

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このページの参考になるサイト

日本惑星協会:http://www.planetary.or.jp/

宇宙航空研究開発機構のオンライン・スペースノート:http://spaceinfo.jaxa.jp/note/note_j.html

The Nine Planets(英語):http://www.nineplanets.org/(日本語に訳したサイトもあるが更新が遅れ気味)。本家では「nine Planet」→「nine() Planet」としている。

NSSDC Photo Gallery(英語):http://nssdc.gsfc.nasa.gov/photo_gallery/

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