第二部−2− 地球の科学

第8章 鉱物(4)

目次
4. 主要鉱物各論(3)
c.雲母
d.角閃石
e.輝石
用語と補足説明
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4.主要鉱物各論(3)

c.雲母

 雲母も固溶体であるが、その組成は複雑で多くの種類がある。花こう岩中にふつうに見られるのは黒雲母である。きらきら光り輝くので、和名は“きらら”という。かつては金雲母や白雲母は絶縁体としてよく利用されていて、家庭のトースターのニクロム線を挟んでいた。

 雲母の結晶は6角柱状で、底面に平行な劈開が顕著である。そのために薄くはがれやすい。偏光顕微鏡下では、ステージを回転させると色(の濃さ)が変わる多色性が顕著である。偏光顕微鏡下での多色性の実際は、岐阜大学教育学部地学教室理科教材データベースの中の地質分野デジタル偏光顕微鏡のページを参照。
http://chigaku.ed.gifu-u.ac.jp/chigakuhp/html/kyo/chisitsu/dezital_henkoh/index.html

雲母:日本マイカ製作所
http://www.japanmica.co.jp/

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d.角閃石

 角閃石も固溶体であるが、その組成は複雑で多くの種類がある。輝石とにていて区別が難しいときがあるが、角閃石の2枚の劈開面は124°(56°)で交わり、輝石の2枚の劈開面はほぼ90°で交わるところが大きく異なる。薄い多色性を示すものもある。角閃石の偏光顕微鏡下での写真は、岐阜大学教育学部地学教室理科教材データベースの中の地質分野デジタル偏光顕微鏡のページを参照。
http://chigaku.ed.gifu-u.ac.jp/chigakuhp/html/kyo/chisitsu/dezital_henkoh/index.html

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e.輝石

 輝石も固溶体であるが、その組成は複雑でいろいろな種類のものがある。角閃石と似ていて、見分けも難しい。輝石は劈開面が2枚あり、それらのなす角度が約90°である。角閃石も劈開面が2枚あるが、両面がなす角度は124°(56°)である。感じとしては、輝石はころころした感じ、角閃石は柱状の感じである。輝石も多色性を示す。

 輝石の偏光顕微鏡下での写真は、岐阜大学教育学部地学教室理科教材データベースの中の地質分野デジタル偏光顕微鏡のページを参照。
http://chigaku.ed.gifu-u.ac.jp/chigakuhp/html/kyo/chisitsu/dezital_henkoh/index.html

普通輝石(地質調査所地質標本館)
http://www.gsj.jp/Muse/hyohon/mas-All/m10009.htm

 輝石の仲間ヒスイ輝石(jadeitei)がある。純粋なものはNaAlSi26で白色であるが、少量のCa、Mg、Fe3+、Fe2+を含むと様々な色が付く。普通は緑色をして、きれいなものは宝石の「翡翠(鳥のカワセミ、色合いがカワセミに似ている)」となる。世界的にも産地はミャンマーなど(他は日本、グァテマラ、ロシアなど)に限られていて、日本の糸魚川市、青海町(おうみまち)の産地は天然記念物になっている。しかし、自然に侵食されたものが糸魚川に運ばれて、運がよければヒスイ輝石を含んだ石を河原や河口で拾うこともできる。

 ヒスイ輝石は高圧下でできる鉱物であり、ヒスイ輝石を含む岩石は高圧下でできた岩石であることがわかる。日本では広域変成岩の結晶片岩(藍閃石片岩)中に含まれている。

 なお、同じ緑色をしていて場合によっては翡翠という名が付いていることもある軟玉は、角閃石の仲間のネフライトというまったく別な鉱物である。軟玉に対してヒスイ輝石を硬玉ということもある。英語でもjadeというとヒスイ輝石とネフライトを含み、ヒスイ輝石はjadeiteなので紛らわしい。

ヒスイの原石:糸魚川市フォッサマグナ博物館
http://www.city.itoigawa.niigata.jp/fmm/hisui.htm
ヒスイの原石:富山県朝日町
http://www.town.asahi.toyama.jp/site/hisui/index.shtml

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用語と補足説明

雲母の化学組成24-6[Si、Al)820](OH、F)4。XにはおもにNaとKが入るが、Caが入ることもある。YにはMg、Fe、Alが入る。

角閃石の化学組成:X2-35822(OH)2。XにはCa、Na、K、YにはMg、Fe2+。Fe3+、Al、Ti、Mn、Li、Zn、ZにはSi、Alが入る。

輝石の化学組成:W1-p(X、Y)1+pZ2O6、Wには、Ca、Naが入り、XにはMg、Fe2+、Mn、Ni、Li、YにはAl、Fe3+、Cr、Ti、ZにはSiとOが入る。

ヒスイ輝石そう長石(NaAlSi3O8)が、400℃、1.4Pa(ギガ・パスカル、1.4万気圧、(Pa(パスカル)は圧力の単位、1Pa=1N・m-2、1気圧≒10万Pa、100Pa=1hPa(ヘクトパスカル)、おおよその目安では地下1kmで30MPaの圧力がかかる)は以上では、石英(SiO)とヒスイ輝石(NaAlSi2O6)に分解する。

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