第3部 生命

第1章 生命の誕生

目次
2. 生物の大分類
a.生物の分類
b.真正細菌と古細菌
c.真核生物
用語と補足説明
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生物の大分類

a.生物の分類

 生物はいろいろな観点から分類されてきた。分類は類縁関係の近い・遠いをきちんと表す、あるいは進化の系統を示すようなものが求められている。最近は異なる種類の生物のDNA、あるいはRNAを比較することによって、類縁関係、あるいはどこでそれぞれの系統が分岐が起きたかがわかるようになってきた。

 最近では、生物はまずな3つの大きなドメインに分類されてている。それは真正細菌(ユークバクテリア)、古細菌(アーキバクテリア)、真核生物の3つである。どちらかというと、真正細菌+[古細菌/真核生物]というニュアンスらしい。さらに最近では、生命発生の初期のころは、こうした生物間の区別は曖昧で、それぞれ遺伝子の交換や、内部に共生するなどということが起きており、そうして混沌の中から現在の真正細菌、古細菌、真核生物が飛び出してきたという考えをする人もいる。

 従来の生物の分類は5界説が主流だった。モネラ界、原生生物界、菌界、植物界、動物界とするものである。3つのドメインの分類は、モネラ界を真正細菌(ドメイン)と古細菌(ドメイン)に分け、残りの原生性物界、菌界、植物界、動物界をまとめて真核生物(ドメイン)とするものである。

 ドメイン以下の分け方についてはこちらを参照


3つのドメイン

こうして各ドメインに別れていったのかもしれない

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b.真正細菌と古細菌

 両者とも0.5〜02μm位のサイズの非常に小さな単細胞生物である。遺伝を司るDNAが細胞中に散らばり、細胞核を持たないのが特徴である。核がないので、両者を原核生物ということもある。

 古細菌は、水素・二酸化炭素という地球の原始大気を彷彿させる大気を好んで利用するメタン生成細菌、非常に濃い食塩水の中で生息する高度好塩細菌、pH1〜3という強い酸性の熱水(50〜90℃、場合によっては100℃を超える)を好む超好熱細菌がそれである。これらの細菌のrRNA(リポゾームRNA)の構造が、ほかの真正細菌とは大きく異なり、どちらというと真核生物に似ている。ほかにも、細胞膜の化学的な性質なども真正細菌とは異なっていることもわかってきた。

 古細菌が好んですむような場所が、生命発生の場所であったという考えもある。しかし、上に書いたように、真正細菌よりは真核生物に近いと思われるので、最初の生物が真正細菌と古細菌のうちのどちらに近かったのかはわかっていない。

 
水田の土壌から発見された新種のメタン生成細菌(古細菌)
九州沖縄農業研究センター
http://konarc.naro.affrc.go.jp/kyushu_seika/2000/2000553.html

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c.真核生物

 細胞の中に核をもち、その中に遺伝物質であるDNAをまとめて収納している。原生生物、藻類、菌類、植物、動物はみなこの真核生物である。細胞の中に酸素を使ってエネルギーを得る器官であるミトコンドリアや、光合成を行う葉緑体(葉緑素)などを持っている。

 原生生物はもともと、植物・動物ではない単細胞の真核生物という程度で使われてきた。今日でも、その位置づけは必ずしも生物学者の間で一致を見ているわけではない。

 藻類は光合成を行い酸素を発生させる生物群の中から、コケ植物、シダ植物、裸子植物、被子植物を抜いたものという、人為的にまとめられたグループである。シアノバクテリアランソウ、ラン藻)や原核緑藻類などは、細胞核を持たないので真正細菌ドメインに入れた方がいいだろう。

 菌類はいわゆるキノコ、カビ、酵母の類である。従属栄養を行う真核生物の一群である。粘菌類の位置づけは微妙だが、rRNA(リポゾームRNA)の解析からは、原生生物に入れた方がいいといわれている。

 植物の狭い意味は陸上植物であるが、広い意味では光合成を行う緑藻類と陸上植物を指す。ラン藻(シアノバクテリア)を含めて植物ということもある。

 動物は、甲殻類、クモ類、昆虫類、軟体動物、脊索動物などである。

原核生物と真核生物の細胞の比較:東京薬科大学山岸氏のページ
http://www.ls.toyaku.ac.jp/~lcb-7/yamagishi/eukaryotes.html(2009年6月9日、リンク先につながりません)

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用語と補足説明

pHpH(ピー・エイチ、ぺー・ハー)は、水溶液の酸性、アルカリ性の度合いを示す数値である。pHは0〜14の値をとり、中性な純水の場合pH=7、pHが7より小さければ酸性、7より大きければアルカリ性である。pHが1〜3とは、非常に強い酸性ということになる。

ミドリムシよくミドリムシ(ユーグレナ)は動物か植物かという質問がある。運動性があるのに光合成を行うから、植物と動物の違いを知った子供たちからは当然出る質問であろう。ミドリムシは植物でも動物でもない、原生生物の仲間であるというのが答になるだろう。

筑波大学第二群生物学類井上氏のサイト
http://www.biol.tsukuba.ac.jp/~inouye/ino/e/euglenophytes.html

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